条件付所有権移転仮登記抹消登記手続請求事件/田中元首相にかかる信濃川河川敷訴訟(当事務所鑑定書を全面採用)

昭和63年6月15日判決、新潟地裁長岡支部・昭和50年(ワ)第186号条件付所有権移転仮登記抹消登記手続等請求事件 田中元首相にかかる信濃川河川敷訴訟第一審判決に係る判決文の一部を抜粋
(2) 横須賀博鑑定(以下、「横須賀鑑定」という。)について
(イ) 横須賀鑑定は、原告O所有地及び同H所有地について、昭和39年9月5日及び昭和59年12月31日現在の土地評価を行っている。
そして、右各土地が農地法第五条の転用許可を停止条件とする売買であったことから、このことを前提として鑑定している。
(ロ) そして、昭和39年9月5日時点における右各土地の正常価格を求めるにあたり、一般的要因である社会的、経済的及び行政的要因を検討し、本件河川敷の西側一帯(旧提内地)の地域状況は、徐々に宅地化が進んでいたものの、依然農業依存度が高い地域であり、本件河川敷内は、依然洪水の危険にさらされる河川敷内の畑地地域と判断し、昭和39年9月5日時点における原告ら各所有地を、農地転用を前提とした売買であっても、最有効使用は畑地としか考えられず、地価は耕作目的の農地価格とほぼ等しかったと推定した。 ~ 中略 ~
前記のとおり、原告ら各所有地の最有効使用が畑であることから考えると、右各土地の価格も耕作目的の農地価格を反映した水準に相当すると言えるところ、《証拠略》 によれば、原告ら各所有地付近は新潟県においても農村部に位置し、昭和39年における農村の耕作目的の農地(畑)価格(平坦地)は、上205円、中160円、下114円(いずれも平米当り)であることが認められ、右各土地が、当時まだ河川敷内にあったことを考慮すると、中程度の農地の価格を超えていたとは考え難く、右各土地の価格は、1平米当たり160円から114円が相当である。
横須賀鑑定は、当時旧提外地に存した原告ら各所有地の最有効使用を畑と判断して昭和39年当時の価格を1平米当り平均135円と算出しているが、概ね妥当なものと評価できる。
(7) 以上によれば、本件売買価格が1平米当り151円であったのに対して、原告ら各所有地の評価は高く見積っても1平米当り160円であるから暴利行為とは認め難く、原告らの主張は理由がない。

以上

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