こんな時に鑑定評価

不動産に関するトラブル

不動産の売買

不動産を売買したい時、その不動産の価格を知るためには、近隣で公表されている地価公示や地価調査による価格を参考にする等の方法があります。ところが不動産は個別性が強く、また地価の変動も大きい現在、適正な価格を知るために、是非専門家である不動産鑑定士による鑑定評価をおすすめ致します。

◎ 特に以下の様な特徴を持つ不動産を売買する場合に、鑑定評価がお役に立ちます。
・ 土地の形状が不整形、間口狭小、奥行長大の土地
・ 崖地や法地を含む土地
・ 無道路地や私道部分を含む土地
・ 面積が近隣より大きい土地
・ 市街化調整区域の既存宅地
・ 宅地見込地地域内の現況雑種地
・ 隣接地との併合・分割を行う場合
・ 老朽化した建物等を取壊す必要がある場合

◎ また、以下の様なケースでは、客観的な時価を立証する必要性から、鑑定評価を求められるのが一般的です。
・ 親族間での売買
・ 関係会社間(親会社・子会社等)の売買
・ 同族法人とその主宰者等との売買 ・ 土地・建物の一括購入(売却)により、土地・建物の価額配分が必要な場合

担保評価・資産評価

不動産に抵当権を設定する時には、その不動産の担保価値を見極める必要があります。このとき鑑定評価を採用すれば、信頼性を確保し万全を期すことが出来ます。
また、工場財団を担保とする場合には、構築物や地上権・賃借権等の財産をも一体として評価する必要から、鑑定評価が有用です。
さらに、企業や個人の財産である不動産をより有効に活用し、資産価値を高めるためにも、鑑定評価は必ずお役に立ちます。

賃料(地代・家賃)評価

不動産の賃料には地代と家賃があり、これらは更に新規賃料と継続賃料に分けられます。

新規賃料は、新たな賃貸借契約において当事者間で成立する賃料です。法人・個人が同族間や第三者と新規賃料を設定する場合に、不動産の経済価値を反映した客観的な資料として鑑定評価が活用されています。

一方で、継続賃料は、継続する賃貸借契約において当事者間で成立する賃料です。新規賃料と異なり、当事者間の賃貸借の経緯や契約の事情といった個別性に左右されほか、賃料を構成する公租公課の増減や周辺地域の賃料水準の影響を受け成立する賃料のため、
客観的に適正な賃料を判断する事が難しく、賃料交渉でトラブルが発生する場合があります。賃料交渉をスムーズに進めるため、適正な賃料を示す鑑定評価を活用されることをお勧めします。

なお、適正な賃料を決定するためには、豊富な事例を分析して賃料市場の特性を把握し、個々の契約内容や経緯を踏まえて評価することが重要となります。

当事務所では、通常入手困難といわれる継続賃料の事例も豊富で、オフィス、店舗、ホテル、百貨店、老人介護施設等幅広い用途の案件を取り扱っております。
当事務所の鑑定評価書が、賃料交渉の客観的な資料として有意義なものであると自負しております。

賃料訴訟の鑑定評価

賃料を改定する場合、当事者間で円満に解決できれば最も良いのですが、当事者間ではどうしても解決できない場合、いきなり訴訟を起こすことはできず、先ずは調停の申し立てが必要になります。(調停前置主義)

調停の特徴は民事訴訟に比べ簡易・迅速であり、訴訟法の知識のない素人でも弁護士に頼まず自分でもでき、費用が割安なことです。調停が成立した場合は調停調書を作成しますが、これは訴訟における判決と同等の効力があります。従って、訴訟まで長引かせないよう相互が納得し、合意に至らせるには、調停の段階で鑑定評価を行いこれを中心に話し合うことが得策です。

なお、この調停は、調停委員を中心に話し合いを行うものですが、結局折り合いがつかず不調になるという場合も多々あります。調停が不調になれば訴訟となります。訴訟の中で裁判所により適正賃料が決定されるわけですが、この決定において鑑定評価書が根拠資料として生かされています。

当事務所はこれまで数多くの訴訟案件に携わり膨大な資料の蓄積と豊富な経験を有しております。そのため、案件ごとの特徴を踏まえた鑑定評価を行うことが可能です。当事務所の鑑定評価書が訴訟における有意義な根拠資料として活用されるものと自負しております。

課税上の評価

不動産は世の中に無二のものはないと言われるほど個別性が極めて強いものです。
しかしながら、相続税や固定資産税の課税において採用されるその基礎となる相続税路線価や固定資産税路線価は一定の条件のもとでの時価であり、それらの路線価を基に税額算定過程で採用される財産評価基本通達等は、課税の公平性を保つ観点から画一的な処理方法を要請しているため、不動産の適正な時価を反映していない場合があります。

そのため、個別性が強い極端な不整形地、奥行の長い路地状敷地、無道路地等の不動産は、財産評価基本通達で求めた価格よりも鑑定評価で求めた価格のほうが低めに求められることもあります。

相続税の申告等には鑑定評価を利用して、適正な納税を行って頂くことをおすすめ致します。

借地権・底地の鑑定評価

【借地権】
建物所有目的の借地権(賃借権・地上権)が単独で取引の対象となることはなく、借地上に存する建物に付随して取引になったときに借地権の価格が顕在化することが一般的です。
借地権の価格は、長期的な借地契約を前提とする低廉な現行地代と借地権が設定されている土地の経済価値に対応した適正地代の差額(借り得分)の現在価値のうち、取引の対象となる部分と言えます。

そのため、借地権が設定されていたとしても、借地権を取引する慣行が成熟している地域とそうでない地域では借地権価格に差が生じてきます。また、契約内容が建物の用途を制限していたり、特約の程度によっても借地権の価格は異なります。

このように借地権の価格は地域性や契約内容の個別性に影響を受けるため、借地権の存する地域の特性等を的確に分析できる不動産鑑定士による鑑定をおすすめ致します。

なお、借地権価格を求める場合には、底地人に譲渡する場合と、第三者に譲渡する場合の二通りが考えられます。
底地人に譲渡する場合、底地人に優先買取権がありますので、第三者と同様の価格になります。

また、借地権に関連して地主さんに払う、以下の場合などの適正な価格を求める場合も鑑定評価が役立ちます。
・ 借地契約が満了し、更新する場合の「更新料」
・ 借地権を譲渡する場合の「譲渡承諾料」
・ 借地契約の条件を変更する場合の「条件変更承諾料」
・ 借地上の建物を増改築する場合の「増改築承諾料」

【底地】
底地とは借地権の付着している宅地です。
底地価格を求める場合には、借地人に譲渡する場合と、第三者に譲渡する場合の二通りが考えられます。
底地を借地人に譲渡する場合、借地人は借地契約によって制限されていた、いろいろな利用条件がなくなり、借地権であった土地が完全所有権となって自由に使用できるのです。また、市場性、担保価値も回復するため、第三者に譲渡する場合の底地価格に比べて価値が高くなる(増分価値が生ずる)可能性があります。

このとき鑑定評価において、第三者に譲渡する場合の価格を正常価格といい、借地人に譲渡する場合の価格を限定価格といいます(借地人に譲渡する場合でも正常価格の時があります。)。
底地の正常価格を求める場合でも判断が難しいのですが、限定価格となると正常価格との差(増分価値)の分析などの専門性が要求されますので、高度な専門知識と豊富な経験を有する不動産鑑定士の鑑定評価が有用です。

税法上望まれる場合

相続

時価評価による相続税の申告
相続時における宅地の評価は、相続税路線価(1月1日現在の時価の80%)に基づいて行われ課税されます。 相続税法上の時価は、財産評価基本通達に規定された補正率を相続税路線価に乗じて求めますが、その補正率は画一的な補正率のため、不動産の個別性が十分に反映しにくく、求められた価格が鑑定評価の価格を上回る場合もあります。
そのような場合、相続税額を抑えるために相続財産を鑑定評価による時価で申告することができます。

相続財産の分配
相続財産の分配も、鑑定評価額に基づく時価により公平に行うことで、後のトラブル発生を防ぐことができます。

交換(同種資産・等価交換)

同種の固定資産の交換
譲渡所得の特例の適用を受ける要件のひとつに『交換差金等が、いずれか高い方の価額の20%以下であること』とあります。この場合、交換する不動産の価額は鑑定評価によることが一般的です。

等価交換方式
等価交換方式によりビル・マンション等を建設する場合にも、課税上特例の適用があります。このとき、地権者が提供する土地等の譲渡価額や取得するビル床等の価額は鑑定評価によることが望まれます。

現物出資

会社設立や増資時における金銭以外の財産の出資を、現物出資といいます。
現物出資の目的である財産が不動産の場合に、弁護士の証明を受ければ検査役の検査が不要ですが、弁護士は必ず、不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて証明しなければなりません。

非上場株式

会社の合併比率を算定したり、合併・被合併会社の株式を評価する際、その会社が保有する不動産の時価は、鑑定によって評価することが望まれます。

合併

会社の合併比率を算定したり、合併・被合併会社の株式を評価する際、その会社が保有する不動産の時価は、鑑定によって評価することが望まれます。

負担付贈与

不動産を負担付贈与によって取得したときは、その不動産は時価により取得したものとみなされます。このため、不動産の時価を鑑定によって評価することが望まれます。

代物弁済

代物弁済により不動産を譲渡するとき、その不動産は時価により譲渡されたものとみなされます。このため、不動産の時価を鑑定によって評価することが望まれます。

分割

法人が共有する土地を分割するとき、時価評価に基づき合理的に行われれば、その分割による譲渡はなかったものとして取扱われます。このため、不動産の時価を鑑定によって評価することが望まれます。

借地権の設定

不借地権の設定により権利金等を授受するとき、その権利金等が土地の時価の2分の1を超えるか否かによって、課税の種類が違います。このため、その土地の時価を鑑定によって評価することが望まれます。動産に抵当権を設定する時には、その不動産の担保価値を見極める必要があります。このとき鑑定評価を採用すれば、信頼性を確保し万全を期すことが出来ます。

財産分与

離婚等による財産分与で不動産を譲渡するとき、その不動産は時価により譲渡されたものとみなされます。このため、不動産の時価を鑑定によって評価することが望まれます。

そのほか

特殊物件の評価

特殊物件には、百貨店等の商業施設、ホテル、介護福祉施設があげられます。
百貨店等の商業施設やホテルは、景気に大きく左右されやすく、稼働率はもちろんのこと、経営者の能力によっても売上高や営業利益が異なる不動産です。一方、介護福祉施設は、景気に大きく左右されにくいものの、稼働率や介護保険料等の行政的条件や介護スタッフ確保に伴う人件費の変動等により営業利益が異なる不動産です。
また、上記不動産の競合不動産と比較した強み、弱み等が収益に与える影響の程度は、オフィスやレジデンス系の不動産よりも大きいといえるでしょう。
このような不動産については、他の不動産以上に詳細な分析が可能な鑑定評価を活用することをおすすめ致します。