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株式会社 横須賀不動産鑑定事務所は地代・家賃・立退料の訴訟に絡む鑑定評価に強い会社です。

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建物賃料改定請求控訴事件(勝訴)

横須賀鑑定士の鑑定評価と異なる判決が地裁でなされたが、控訴審で全面勝訴

1.平成15年2月20日 東京地方裁判所八王子支部民事第1部において、平成13年 (ワ)第848号賃料改定請求事件についての判決がありましたが、当職の鑑定評価書と判決内容とに相違がありましたので、その経緯をご説明致します。

(1) 事件の内容
・原告(賃借人) : 百 貨 店   
・被告(賃貸人) : 大手企業
・原告と被告の間で、平成元年2月25日に締結の賃貸借契約(期間 25年間、基本賃料 \ 108,660,672 + 歩合賃料)において、平 成12年2月1日を起算日とし、その基本賃料を20%減額して月額\ 86,928,538 とする裁判が提訴された事件。
 
・原告の鑑定人:A
・・・鑑定評価額 (修正後・歩合賃料を含む) 月額 ¥ 88,504,000
・被告の鑑定人:横須賀鑑定
・・・鑑定評価額(当初鑑定・歩合賃料を含む) 月額¥111,000,000
・裁判所選任の鑑定人:C
  ・・・鑑定評価額(補充修正後・歩合賃料を含む) 月額 ¥98,870,000
・裁判所判決
・・・判決賃料(歩合賃料を含む) 月額 ¥98,970,000  
    
(2) 判決の内容
判決に当たっては、主にC鑑定と横須賀鑑定とに基づいてなされていますが、C鑑定については当初の鑑定の随所に誤りがあったとして、再度提出された鑑定補充書(以下「C補充鑑定」)によっています。
判決内容は、その「C補充鑑定」と「横須賀鑑定」とを対比する形で判示されていますが、それらの主たる相違点は、次のようなものです。

(a) 土地の道路幅員と容積率について
  C鑑定は、賃料算定の基礎とする基礎価格の算定にあたり、当初鑑定において土地の道路幅員と容積率を誤っていたために、過小に評価していましたたが、その後、C補充鑑定ではそれらを訂正し、道路幅員と容積率を増加せしめています。しかし、「道路幅員と容積率が増加しても土地の評価額には影響がない」としてそのまま評価額は変更されておりませんが、判決もそれを支持して相当としています。

(b) 利回り法について
C鑑定は、当初、利回り法の試算賃料(支払賃料)を月額 ¥ 96,400,000と求め、この試算賃料により賃料の調整決定をしていましたが、この試算賃料に誤りがあることを指摘され、再計算をしたところ、C補充鑑定においては 月額 ¥ 47,500,000と過小に試算されたとしています。そのためにC補充鑑定では、賃料の調整決定に当たってこれを除外するとして、最終的にはこの試算賃料を影響させていない結果となっています。判決においては、過小に評価された内容等の検討をすることなく、これを支持し、単に「不動産鑑定評価基準に合致して合理的」とするのみで、その具体的理由は判示されていません。

(c) スライド法について
 C鑑定において、スライド法に採用のスライド率(変動率)は、消費者物価指数(全国・総合)と百貨店(当店)年間売上高の指数を基に求めるとしており、当職が採用した指数と同じ指数を採用していますが、何故か、これらの指数を2倍にして算定し、そのマイナスのスライド率を結果的には4倍のマイナススライド率としています。判決は、それを単に鑑定評価基準に合致し、合理的であるとして採用しています。更には「A鑑定のマイナスのスライド率と比較しても横須賀鑑定のマイナスの率は少なすぎるので横須賀鑑定を採用できない」として明確な理由は判示していません。

(d) 賃貸事例比較法(比準賃料)について
C鑑定は、継続比準賃料の算定にあたり、採用した賃貸事例に「借進みが20%ある」として、比準賃料が求められていますが、判決においては「平成元年からの賃料水準がそのまま固定されているという点で割高となっている可能性が高いから・・・借進みである。」として認めています。さらには「A鑑定及びC鑑定の比準賃料に比較し、横須賀鑑定(当職鑑定)の比準賃料は高いので失当である」として、それらの事例の内容等については判示されてはいません。
 
こうしたことから、判決に対し諸々の疑問を抱かずにはいられないところ、被告代理人の弁護士より、即日、東京高裁に控訴をした旨の連絡があり、同時に当職に証人として出廷の諾否についての問い合わせがありました。そこで、当職は喜んで出廷について応諾する旨を伝え、現在に至っています。
いずれ、東京高裁の判決があり次第、その内容を本コラムに掲載します。 

以  上

2.上記で述べた東京地方裁判所民事第1部の控訴審で東京高等裁判所より平成16年1月15日判決が言い渡され、次のように判示されました(平15年(ネ)第1754号賃料改定請求控訴事件)

東京地裁八王子支部の判決で
(1) 土地の道路幅員と容積率について
(2) 利回り法について
(3) スライド法について
(4) 賃貸事例比較法(比準賃料)について
A鑑定及びC鑑定が採用されていたが、これらのいずれの手法も東京高裁で否認され、横須賀鑑定の鑑定結果が採用され全面勝訴となりました。
(判決日 平成16年1月15日に記載)

(国分寺駅ビル)判決の一部抜粋


1)土地の道路幅員と容積率について

「C鑑定人は、当初裁判所に提出した不動産鑑定評価書(以下「当初鑑定書」などという)において本件対象土地の街路条件のうち、接面街路の幅員を誤って7.2mの舗装都道と把握して評価を行い、その後の鑑定補充書及び訂正後の不動産鑑定書(以下「訂正後の鑑定書」などという)において接面街路の幅員を12mと訂正したにもかかわらず、訂正後の鑑定書における本件対象土地の1平方メートル当りの更地価格の金額を変更していない。
この点についてC鑑定人は、鑑定補充書及び原審での鑑定人尋問において、本件対象土地の価格形成要因は街路条件のみによって決定されるものではなく、交通接近条件・環境条件・行政条件及びその他の条件が相乗的に影響することによって決定されるのであり」として「本件対象土地の接面街路の幅員が訂正されることによって直ちに本件対象土地の1平方メートル当りの更地価格の金額が変更されることにはならない旨述べている。しかし、不動産の適正賃料は、当該不動産の価格形成に係わる種々の要素を考慮して算定すべきものであるところ、土地の接面街路の幅員については建築基準法52条により、当該土地の容積率の基準とされ、また、幅員が12m以上の場合と12m未満の場合とでは異なる規制に服するものとされていることを考えれば、接面街路の幅員は基礎価格の算定にあたって相応の評価を要すべき事項にあたるものと解される」………「本件対象土地の接面街路の幅員が当初認識していた7.2mではなく、12mであったことが判明したのであれば、比較対象物件の修正についても補正が必要であり、比準価格もそれに応じて変更されてしかるべきであって、C鑑定人がこれを行わなかったことは、上記比較事例との均衡を欠くといわざるを得ず、このことはC鑑定で示された基礎価格自体の正確性に疑問を差し挟むべき事情に当たるものといわなければならない」………「上記の誤りが判明した以上、それに応じた補正がなされなければ鑑定評価としての一貫性を欠くものといわなければならない」。
■ 横須賀鑑定は12mを所与として評価している

2)利回り法について

「C鑑定が算定した基礎価格について、前記の通りその算定過程に相当とはいえない点があり、その結果算出された基礎価格の正確性には疑問が残る。C鑑定は、この基礎価格に基づいて、上記差額配分法及び利回り法による試算賃料を算定しているが、基礎価格の正確性に疑問がある以上、C鑑定における差額配分法及び利回り法による試算賃料の数値は直ちに採用し得ないものといわなければならない。」
(なお、利回り法による試算賃料が適正賃料算定の際に考慮されていないことは上記の通りである。)

3)スライド法について

C鑑定人の上記陳述は、経済変動率をマイナス13%とした根拠につき、明確な説明になっているとは言い難い。殊に、地価変動率を参考にとどめた点はともかくとして、実情を強く反映していると思われる丸井国分寺店の売上に係る変動率を除外しながら、百貨店年間売上高の変動率を特に重視したことについての合理性の裏付けとなるような事情も見出せないことに照らせば、C鑑定人が採用したマイナス13%という数値の相当性については疑問が残るものといわざるを得ない。
この点についてA鑑定においては、東京23区の百貨店年間売上高がマイナス16.7%であること、東京都の商業販売統計百貨店販売額がマイナス12.7%であることを重視し、変動率をマイナス16%と査定しているが、これに対しても同様の批判が当てはまるのである。
これに対し、横須賀鑑定においては、被控訴人の店舗を含む国分寺駅ビルにおける売上高の推移を重視し、変動率をマイナス6.9%と査定しているが、C鑑定及びA鑑定と比較すると相応の根拠を持った査定と評価することが出来る。

4)賃貸事例比較法について

C鑑定人は、採用した継続賃貸借事例T(国分寺L専門店街の事例)の比準賃料補正の過程において「借進み」が認められるとして120分の100の修正をしたが、その理由につき、原審での鑑定人尋問において、賃料水準については、バブル経済の崩壊により近隣地域における一般的な水準が下落傾向にある中で、バブル経済期に属する平成元年に駅ビルに入居するというステータス等の要因によって、各テナントが控訴人から提示された賃料をそのまま受け入れるという経過で決定された賃料水準がそのまま固定されているという点で、割高になっている可能性がある旨述べている。しかし、乙第34号証によれば、上記事例は平成元年からの継続賃料であって、新規賃料の借り進んだ事例ではないことが認められ、また、競争によって成約賃料がつり上がったという事情も認められない。そうすると、C鑑定人が述べる事情はいずれも推測に基づくものであって、このような関係から120分の100の「借進み」ないし割高の修正をすることは実態に反するものであって、C鑑定の上記査定については疑問が残るといわざるを得ない。
「上記の通り本件においては、本件賃料対象物件の価格時点における賃料が不相当に高額になった(借地借家法32条1項)との要件について,A鑑定及びC鑑定によってはこれを認
めるに足りず、他にこれを認めるに足る証拠はない。よって、被控訴人の請求を一部認容した原判決は相当でないから、原判決中控訴人敗訴部分を取り消し、上記取り消しに係る被控訴人の請求を棄却することとして主文の通り判決する。」 ■ 横須賀鑑定は借進みを認めていない。

東京高等裁判所 第21民事部
裁判長裁判官 石 垣 君 雄
裁判官 富 田 善 範
裁判官 長久保 尚 美

    ★ 以上の通り横須賀鑑定結果が全面採用となりました

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